白いキャンバス

それはそれは
大きな1つの白いキャンバスがありました

君も僕も出逢う前までは
筆を持つことすらしなかった

出逢いとは不思議なもので
吸い込まれる引力があった

少し遠くで顔を真っ赤にして
微笑む君がみえた
吸い寄せられるように
同じテーブルに混ざっていた僕がいました

真っ暗闇の海水を宛もなく
泳いでいる無色の魚の僕は
勇気を振り絞って話しかけてみた

眩しかった
愛らしかった
優しさで包み込まれるようだった
同じリズムで
同じ話題(わだい)で
同じ調和を確かに感じていた

真っ暗闇だった世界に
光が射し込んで来た

なんのためらいもなく僕は
そこに向かった

なぜか今では君も僕も筆を持ち
好きな物を好きなように描く

笑顔の耐えない会話と共に

諦めていた道程が「まだ途中」なんだと
気が付かされたのは君の笑顔だった

Share : facebooktwittergoogle plus
pinterest